Ryo HAMADA
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杉田 里佳(キュレータ)
Subterranean -<閉じられている>という意識-
カタログより抜粋 >>


浜田涼の、時には歩きながら写し撮られた、手ブレしぼんやりとしたイメージのスナップショットは、家の中や通勤途中の通い慣れた駅への道すがらなど、ごくありふれた日常生活の営みの中で、曖昧に特別な意識や認識を施されることなく切り取られた視覚の断片です。写真という奥行きのない平面的次元のものから、拡大されカラーコピーを経てメディウムを塗られ、ドリッピングを施すという形態をとることで、画面の中には異なる次元の奥行きが生じ、木製パネルに貼られ、壁にかけられることで再び平面的なものへと回帰していきます。まるで、自動記述のように浜田の手から抽出され、さらには関係性も持たされずに並置されるそれらの風景は、写された場所や時間などの記録や記憶の固有性は失われ、作者である浜田自身の記憶から、鑑賞者を巻き込んだ公共の記憶や視覚イメージへと変容していきます。そして、意識の奥底に漂い沈んでいた記憶は可視化され、人間の行為と経験、それらの無限性までが危機に晒されているかのような感覚を呼び起こすのです。

1998年ギャラリー日鉱





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